家事代行の市場規模は698億円｜市場構造や動向を解説

家事代行サービスとは、家事経験を持つスタッフが、利用者の代わりに家事を行うサービスのことです。家事の中には掃除・炊事・洗濯などが含まれています。

類似サービスに『ハウスクリーニング』がありますが、こちらは専門的な知識を持った業者が専用の備品を使って掃除をするサービスを指しており、家事代行サービスとは業態が異なります。

今回の記事では、家事代行の市場規模について、様々な情報ソースをもとに市場構造や市場動向を考えてみます。

※本記事は権威性、信頼性の高い以下の記事を参考にしています。

家事代行の市場規模は約698億円

2018年に野村総合研究所から発表された『家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究』によると、2017年の家事支援サービス業の推計市場規模は約698億円になりました。

本調査の推計は家事支援サービスに関するアンケート調査の結果から算出されています。

参考：家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究

2025年の将来市場規模は約8,000億円の可能性も

家事支援サービスの2025年の将来市場規模は、約2,176億〜8,130億円にも成長するとも推測されています。

こちらも野村総合研究所から発表された推測で、アンケート調査にて『将来利用したい』と回答したひとの割合から算出されています。

共働きが一般的になった現代を見ても、家事代行サービスが増えていく未来は確かに想像できますね

家事代行の市場動向

先ほども解説した通り、家事代行サービスは今後右肩上がりに成長することが期待されています。

家事代行サービスの登録件数は600件以上

上記は2006年〜2014年の家事代行サービス登録件数推移です。家事代行の成長性を見込み、市場参入する企業、サービスも増えています。

しかし需要に対する供給不足も市場内の課題です。2016年に市場参入した『DMM okan』という家事代行サービスは『サービスを利用したい方が増えすぎて供給が追いつかない』という理由で撤退をしています。

》サービス終了の家事代行「DMM Okan」理由は「需要高すぎ」

家事代行業界のカオスマップ

市場の成長性が見込める家事代行業界ですが、関連事業は多岐に渡ります。

上記は2017年にハーチ株式会社が作成した『家事代行業界カオスマップ』です。家事全般、洗濯代行、ベビーシッティング、料理代行、整理整頓、買い物代行など、家事代行業界全体を分かりやすく整理されています。

》国内初！「家事代行サービス業界カオスマップ」公表

家事代行需要が増加している理由

家事代行市場が伸びている理由は５つあります。

共働き世帯の増加
単身世帯の増加
高齢者の増加
働き方の多様性
政府の後押し

共働き世帯の増加

家事代行の市場が伸びている理由に『共働き世帯の増加』があります。

厚生労働省のデータを見ても、日本の共働き世帯数は昭和55年から右肩上がりです。反対に専業主婦世帯の比率は年々減少しています。

共働きが浸透してきた現代において、家事は家庭全体の問題。共働き世帯の増加が、家事代行の増加につながっています。

単身世帯の増加

共働き世帯とあわせて、単身世帯の増加も家事代行の成長性を見込んでいます。

総務省の『単独世帯に関する調査研究』をみても、共働き世帯同様、単独世帯の割合は増加しています。

2017年現在の『単独世帯』の市場規模は、およそ半分の371億円。単独世帯が増加すれば、家事代行サービスの市場成長にもつながります。

高齢世帯の増加

45歳以上の高齢世帯が増えることも、家事代行市場の成長に紐づきます。

ご存知の通り、日本の高齢者人口および割合は年々増えています。2040年には日本人口の35.3%が高齢者になるとも予測されています。

年齢を重ねれば、家事をするにも身体の負担を感じる機会が増えていきますからね。

働き方の多様性

副業解禁や在宅勤務、ギグワークの普及など、働き方の多様性も家事代行市場の成長につながると予想しています。

需要に対して供給不足になりやすい家事代行ですが、働き方の多様化により家事代行をするスタッフの増加も考えられます。

最近では個人間同士のマッチングプラットフォームを提供する家事代行サービスもありますので、働き方の多様化が今後の家事代行の発展につながる可能性は秘めているはずです。

政府の後押し

実は家事代行サービスの普及に、国(政府)がかなり力を入れています。

第二次安倍内閣の成長戦略にもありました『日本再興戦略』の中でも、女性の活躍が期待されていますし、経済特区では『家事支援外国人受入事業』も開始されています。

家事支援外国人受入事業とは

家事支援外国人受入事業は、女性の活躍促進や家事支援ニーズへの対応、中長期的な経済成長の観点から、国家戦略特別区域内において、第三者管理協議会による管理体制の下、家事支援活動を行う外国人を特定機関が雇用契約に基づいて受け入れる事業です。

政府の働きかけを見ても、家事代行市場が成長する可能性は高そうですね。

家事代行の市場規模・動向まとめ

家事代行の市場規模・動向をまとめると以下になります。

2017年の市場規模は約698億円
2025年の将来市場規模は約8,000億円
家事代行の市場は今後も成長が見込める
成長背景には『共働き世帯の増加』などがある

2021年の現在においても、家事代行の市場成長は見込める未来は見えています。供給者の不足も言われていますが、働き方が多様になったいま、個人間同士の需給バランスが見込める可能性もありますね。

対面接客に不安が残るご時世ですが、過去の動向、海外の動向を観測して、事業を企画してみても面白いかもしれません。

家事代行の市場規模は698億円｜市場構造や動向を解説